世界で最初の小児糖尿病サマーキャンプは、1925年に米国で行われました。日本では1963年に初めて丸山博先生により千葉県で開始され、以後日本糖尿病協会の事業として徐々に全国に広がり、2007年には全国45カ所で行われています。
東海地区小児糖尿病サマーキャンプもその1つとして、1974年に開始して以来長い歴史を持つキャンプです。
小学3年生~中学3年生の1型糖尿病患児(キャンパー)、ポストキャンパー、医師、看護師、栄養士、薬剤師、検査技師、児童指導員、保育士、理学療法士、学生(医・看護・栄養等)、糖尿病関連企業の社員などが集まって、4泊5日の共同生活をします。
更に、キャンパーのご家族や、小学2年以下の1型患児、本キャンプの対象年齢以上で発症の親子、本キャンプの対象年齢の親子(1人で4泊することが難しい患児)も、キャンパーとは別行動で、1泊2日ミニキャンプへ参加できます。
サマーキャンプは、日常と離れ、いつもと違う場所でいつもと違う仲間と共同生活を行う、チャレンジです。自然の中でいっぱい楽しみたいものです。
最初はおとなしくして周囲を見回すのが精一杯でも、仲間と昼夜一緒に暮らして馴染むうちに地も出てきます。そういう中で、自分と同じだったり異なったりする感じ方や考え方があることも知ることができて、自分を客観的にみることにもなりますし、友達が出来るチャンスです。
学校・スポ少・地域参加の宿泊行事とは異なり、ちょっとばかり離れた地域同士で、しかも家族抜きでのほぼ初対面同士の集まりなので、われわれ大人が初めての外国を1人で訪れるくらいの新鮮さやドキドキなのでは…?やり遂げればとても大きな自信となるでしょう。
キャンパー達は日頃、友達とは「糖尿病のコントロール生活についての話題」は避け気味になっているはずです。本当に共感してもらうのはまず無理で、糖尿病に関わる話は弾まないはずだからです。でも、キャンプ中は違います。
どの友達をもみんな自分と同じように毎日注射して、血糖を測っていますから、糖尿病のコントロール生活に関わる話題は、平気どころか逆にとても共感し合えます。そんな仲間と一緒にいるのはとってもホッとできるひと時ではないでしょうか。キャンプのスケジュールの中でもいろいろ話し合えるように計画されています。他の子のやり方がとても参考になる事もありますよ。
“親身になって"という言葉がありますが、親であるためについ世話をやきすぎたり、こどもの立場からはつい反抗的になったり甘えすぎたりすることがあります。
キャンパー同士やスタッフの言葉の方がすんなり受け入れてくれることがしばしばありますので、糖尿病の知識・技術をさらに獲得したり、見直ししたりするチャンスです。
血糖を測る前に毎回、血糖値の予想をしてもらいます。食事、運動、インスリン注射量のバランスを考え、どれだけのインスリンをうてばよいか、自分でも考えてもらいます。低血糖になった時も、自分特有の症状と補食の仕方を自分で考え、スタッフや友達と一緒に確認できれば今後とても心強いですね。